油そば、あぶらそば

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更新日:
 2022年6月5日



◎油そば(2022年5月17日)
 「油そば(あぶらそば)」はスープがないラーメンによく似た、麺料理の一種です。丼の底に入ったゴマ油や醤油ベースのタレに、好みでラー油、酢などの調味料をかけ、麺に絡めて食べる料理です。具は温泉玉子、刻み海苔、メンマ、チャーシュー、ネギなどが一般的です。お店によっては背脂、チーズ、マヨネーズ、天かす、ベビースターラーメンなどを具に入れることもあります。さらに、お店によっては「油そば」ではなく、「もんじゃそば」、「まぜそば」、「手抜きそば」、「あぶらーめん」などと称することもあり、「汁なしラーメン」と言われることもあります。
 発祥の店としては、以下の2つのお店が有力とされているそうです。1つは、1952年(昭和27年)に創業した東京都国立市、一橋大学の近くにあった「焼鳥 三幸」というお店です。のびたラーメンをヒントに昭和30年代前半頃から酒の肴として提供されていたという説があるそうです。もう1つは、1954年(昭和29年)に創業した東京都武蔵野市境の亜細亜大学近くにある「珍々亭」というお店です。こちらは中国の拌麺(スープがない麺料理)をヒントに油そばを考案し、1958年(昭和33年)頃から提供していたという説です。いずれにしても東京都の武蔵野地区で生まれ、他の地域に広がっていったと考えられています。
 「三幸」の油そばの麺は細麺ですが、「珍々亭」は太麺だそうです。「三幸」が焼鳥屋(居酒屋)で、〆にラーメンを出していたことは想像に難くありません。そのラーメンがのびないように、あるいはつまみにもなる料理として考案したということは十分に理解できます。一方、中国には元々、拌麺というスープがない麺料理があり、「珍々亭」の主人が、これを日本人に合うように改良して作ったということも十分に理解できます。したがって「油そば」なる汁なし麺料理は「三幸」、「珍々亭」、それぞれ別々に生まれたのかもしれません。ただ、場所がそれほど遠くないので、「三幸」で「油そば」を食べた人が「珍々亭」に行った時に汁なし麺の話をして、「珍々亭」の主人が自分で作ったということも考えられます。「三幸」の方が古くから油そばを提供していたようですので、こんなことも考えられると思います。ただ、現在、油そばの主流は太麺です。このことから考えると、「珍々亭」の油そばを食べた人達が真似をして、「油そば」が広まったのではないでしょうか。「三幸」は居酒屋ですので、夜しか営業していません。一方の「珍々亭」は中華料理店ですから、昼の営業です。料理を食べて、話が広がっていくとすると「珍々亭」の方がありそうです。
 油そばは1990年代に油そば専門店が誕生するなど、認知度が広がっていきました。1995年には「ぶぶか(吉祥寺)」、1997年には「東京麺珍亭本舗(早稲田)」などがオープンし、「油そば」という食べ物が少しずつ広まっていったと考えられます。1997年の読売新聞の「今年ヒットした話題の商品」の13位にランクインしていたそうですから、原因は分かりませんが、1997年に知名度が広がっていったと考えられます。さらに1998年頃、日経新聞に「油そば」で1ページの特集が組まれ、「珍々亭」と「ぶぶか」の2軒を取り上げたそうです。これがきっかけになり、第一次油そばブームになり、雨後のタケノコのように「油そば始めました」という店が増えたそうです。2022年現在では「油そば専門店」というお店もたくさんあり、食の一分野として確立しているようです。