竹輪麩、ちくわぶ

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更新日:
 2020年8月10日



◎ちくわぶ(竹輪麩)(2020年8月10日)
 「ちくわぶ」は漢字で「竹輪麩」と書き、小麦粉、水、塩を合わせて練ったものを棒などに巻きつけて加熱し、竹輪の形に似せて作った食品です。「竹輪」に似ていますが、材料が小麦粉であり、竹輪とは全く異なります。(竹輪は、魚のすり身です)「竹輪」に似た形状の「ふ(麩)」という意味かもしれませんが、「」はグルテンを主な原料とした加工食品であり、「ちくわぶ」はグルテン以外も含む小麦粉で作られていることから、厳密には「麩」ではないようです。すなわち、見た目は「竹輪に似た麩」のようであるが、「材料は麩ではない」という特殊な食べもののようです。むしろ、ちくわぶは小麦粉で作られているので、どちらかといえば「竹輪型をした極太のうどん」、あるいは「極太のパスタ」と言う方が正しいかもしれません。また、東京ローカルの食材であり、関東以外にはなかったようです。
 この「竹輪麩」が、いつ、どのようにして生まれたかについては正確な情報が無いようです。1895年(明治28年)3月に3代目を襲名した柳家小さん(1928年(昭和3年)4月に9番弟子の4代目蝶花楼馬楽に小さんの名を譲って引退)さんは、明治後半から大正時代に活躍していましたが、ちくわの代用として「ちくわぶ」を使用する蕎麦屋の噺(時そば)を演じていたそうです。このことから、少なくとも明治後期には「ちくわぶ」が、東京では一般的に知られていたと考えられます。
 この「ちくわぶ」は東京地方限定の食材で、主におでんの種として食べられています。現在では千葉
埼玉、神奈川などの関東圏を中心に広がっているようですが、他の地域では知られていない食材です。特におでんの種(タネ)として利用されることが多く、1924年(大正13年)発行の「最新実用和洋料理」という本には「おでんの拵へ方」として、その材料に里芋、こんにゃく、がんもどき、焼豆腐、竹輪、さつま揚げと並んで「竹輪麩」が記載されているそうです。
 また、1937年(昭和12年)発行の「軍隊調理法」という本には、「関東煮(おでん)」の材料として里芋、こんにゃく、がんもどき、大根と並んで「竹輪麩」が挙げられているそうです。明治後期から大正時代にかけて、東京では「おでんの具」として一般化していたことがうかがえます。
 「ちくわぶ」は「もちもちの食感」が楽しめ、かつ、出汁汁をたっぷり吸いこむことから煮物の具として重宝してきたようです。少量の塩以外の調味料が使用されていないため、ちくわぶ自体には味がありません。この「癖がない」ということと「出汁を吸う」ことが、煮物料理に利用されてきた理由だと考えられます。おでん以外にはすき焼きや鍋物に入れたり、団子代わりにきな粉をまぶしたり、しるこなどの具として用いられることもあるようです。