桂花ラーメン

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更新日:
 2020年4月20日



◎桂花ラーメン(2020年4月10日)
 「桂花(けいか)ラーメン」は、1955年(昭和30年)6月に当時、29歳だった久富サツキさんが開業した熊本ラーメンのお店です。場所は熊本市役所近く、栄通り沿いで間口はわずか2間、10席余りの小さなラーメン屋さんだったそうです。
 「桂花」とは、「金木犀」の中国名です。「金木犀の香りを探したように、ラーメンのいい匂いにつられて店に来てほしい」とか、「小さな花が集まって咲くようにみんなの笑顔を咲かせたい」という思いが込められているそうです。
 また、久富サツキさんは「美味しくて栄養満点の食を丼一杯の中に完成させたい」、という想いと、「身体に良いものは手間暇をかけた手作りのものからしか得られない」、という発想から、素材の味を大切に一つ一つ丁寧に仕込みをしていたそうです。
 1952年(昭和27年)に熊本県玉名市に中華そば屋「三九」がオープンし、初めて豚骨ラーメンが熊本県に上陸し、広まり始めた時代です。この「白濁豚骨スープ」のラーメンに感銘を受けたのが、山中安敏さん、劉孝治(重光孝治)さん、木村一さんという3人でした。この中の劉孝治(重光孝治)さんが「桂花」で調理を務めていたそうです。劉孝治(重光孝治)さんは、出身の台湾の客家料理をヒントに、ラーメンに揚げたニンニクを入れることを思いついたようです。
 劉孝治(重光孝治)さんは、その後、1968年(昭和43年)に独立し、味千ラーメンを立ち上げています。
 さらに久富サツキさんは、ラーメンにかつてない香りを求めて試行錯誤し、創業者の娘さんで、後に桂花の二代目となる旅井瑞代(たびい・みずよ)さんと一緒に香りの研究をしていたそうです。豚骨スープにあって、病み付きになるような印象深い香りを求めて色々、試した結果、ニンニクを主に、熊本の数種類の香味野菜を香ばしく揚げた物が好みに合ったそうです。香りがよく立つように、肉のミンチを作る道具で手回しでニンニクを挽いたそうです。とても好きな香りが出来、病みつきになりそうな香りで「まるで麻薬ね」、と言っていたそうです。しかし、「麻薬」は良くないので、「魔法の油」ということから「マー油」と名付けたそうです。マー油が誕生した時期は定かではありませんが、旅井瑞代さんが20歳の頃だとすると1967年〜1968年頃だと思われます。
 「桂花」は、1968年(昭和43年)に東京に進出します。熊本ラーメンのお店が東京に進出したのは「桂花」が最初だそうです。「桂花」のおかげで東京、さらに日本中に熊本ラーメンが知られるようになったのだそうです。
 「桂花」は開業から10年後の1965年(昭和40年)9月に熊本市内に「桂花ふぁんてん」というお店を開店しました。これが支店を出店した1号店です。その後、創業14年目の1968年、創業者の久富サツキさん自らが上京し、新宿区に東京1号店(新宿末広店)を開店しました。この時、東京進出の記念メニューとして考案されたのが、現在では桂花を代表する看板メニューである「太肉麺(ターローメン)」です。豚の三枚肉を秘伝のタレで煮込んだ角煮「太肉」、生キャベツや茎ワカメをのせたボリュームある一品です。とろけるほど柔らかい太肉と、さっぱりとしたキャベツのバランスが絶妙です。
 創業者、久富サツキさんの義理の弟、久富和憲さんの話では、当時、東京進出の記念ということで、他にはないラーメンを作ろうと考えたそうです。創業者は女性ということもあり、常に身体を気遣ったり栄養のことを考えている人で、栄養的にバランスの取れたラーメンが良いだろうと言うことで生のキャベツや茎ワカメを乗せることになったそうです。太肉は中華料理の角煮をヒントに、桂花のラーメンの味に合うように甘さなどの研究を重ねて作ったもので、見た目が太い肉なので「太肉」という名前にして、読み方を中国風に「ターロー」と呼ぶようにしたそうです。
 当時は東京だけの限定メニューだったそうですが、あまりの人気で、後に熊本の店舗に「逆輸入」することになり、その後、定番メニューになったそうです。
 その後、1972年(昭和47年)9月に東京での2店舗目、支店として3店舗目となる「東京新宿東口駅前店」を開店しました。この後も桂花ラーメンは次々と店舗を増やしていき、渋谷、千葉、京都、横浜などに支店を増やしていきました。
 順風に見えた「桂花」も、時代を読み違え、苦境に陥ります。2000年頃、熊本に広大な土地を買って大きな工場を作ったそうです。さらに2005年頃にはチェーン店を全国14店舗にまで拡大したそうです。しかし、当時は、店舗によって味のばらつきがあり、評価が悪くなっていったそうです。マニュアルはあるものの、スープ釜の大きさも、仕込みをする人も違い、教育ができておらず、味を統一できていなかったそうです。その結果、売上も下がり始めて、2010年には設備投資が重荷となり、自立再生、事業提携などを模索していましたが、最終的に2010年11月1日に熊本地裁に民事再生法の適用を申請することになりました。資本金は750万円、直近の2010年3月期の売上高は9億6600万円で、負債総額は約12億6千万円だったそうです。
 この窮状に手を差し伸べたのが「味千ラーメン」を運営している重光産業でした。この時、既に重光産業の社長は劉孝治(重光孝治)さんの息子の重光克昭さんに代わっていますが、何か因縁というか縁があるのでしょうか。
 重光産業は従業員を一人も退職させずに引き取るという条件を飲み、また、久富サツキさんのレシピを残し、受け継いだそうです。そして2011年から桂花ラーメンの再生事業を手がけると、当時、店舗によって大きく異なっていた味、品質のブレなどを修正し、常に100点を目指す気持ちで作る姿勢を徹底させたそうです。その結果、業績は順調に回復し、2014年には池袋に新規店舗も出店するまでになりました。
 2020年4月現在、熊本に5店舗、東京に8店舗(新宿:4店舗、渋谷:1店舗、池袋:3店舗)の合計13店舗を運営していますが、2026年までに30店舗を展開する予定だそうです。
 なお、創業者の久富サツキさんは2019年8月13日にお亡くなりになりました。享年93歳でした。
 「桂花」のラーメンは、2日間かけて炊き上げた元祖熊本豚骨スープに、桂花のオリジナル香味油であるマー油の食欲をそそる香ばしい香りが、中太ストレート麺によく絡まってクセになる味わいです。スープは一見濃厚に見えますが、口に含んだときのまろやかさと飲んだあとの意外なすっきり感が特長です。是非、この歴史を思いながら味わいたい1品ですね。



・桂花拉麺



・太肉麺(ターローメン)



・桂花ラーメン 本店
 住所:熊本県熊本市中央区花畑町11-9 K−1ビル 1F
 TEL:096-325-9609
 営業時間:11:00〜24:00
 定休日:
 駐車場:無
 アクセス:熊本市電、熊本城・市役所前、電停から徒歩約3分
 カード:不可
 席数:45席
 オープン日:1955年6月

・桂花ラーメン 新宿末広店
 住所:東京都新宿区新宿3-7-2
 TEL:03-3354-4591
 営業時間:9:00〜23:15
 定休日:無
 駐車場:無
 アクセス:東京メトロ、丸ノ内線、新宿3丁目駅、B2出口から徒歩約3分
 カード:不可
 席数:30席
 オープン日:1968年