鰻のお話

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更新日:
 2009年1月28日


◎鰻(1998年8月21日)
 万葉集の中で、編者、大伴家持は「石麻呂に我もの申す 夏やせによしというものぞ むなぎ取りめせ」(夏やせにウナギがよいので、鰻を取れ!)と詠んでいます。8世紀の奈良時代、ウナギは大切な脂肪源だったようです。
 「ウナギ」の語源には、胸びれあたりが黄色いので、「胸黄(むなぎ)」から転じたという説や、姿形が棟木(ムネギ、ムナギ。屋根の骨組みの頂部に用いられる水平材。)に似ているため「ムナギ」と呼ばれたことから転じた、という説があります。
 現在、世界で19種のウナギが確認されていますが、日本では北海道以南に生息するいわゆる「ウナギ」と、関東以南に生息する「オオウナギ」の2種類がいます。日本産ウナギの産卵は沖縄南方海域で、ふ化した1年後には「シラスウナギ」として河川をさかのぼり、10年近く淡水などに生息します。食用になるのは生後4年目頃からで、1尾150g程度のものが最も美味とされています。
 一般に売られているウナギは養殖もので、産地としては浜松や焼津が特に有名です。近年では台湾や韓国からも大量に輸入されています。天然ウナギは、その産地も年々減り、今では生産量の1%に満たない状態です。天然ウナギは腹が黄色みがかっていますが、養殖ウナギは白っぽいので、腹を見れば区別ができるようです。
 ウナギの血液にはイクシオトキシンという毒素が含まれているため、刺身などで生食はできません。この毒素は加熱すると変性し、毒性が消えるため、ウナギ料理は全て加熱します。生でも血液を完全に抜いて、酢でしめれば刺身で食べることもできます。
 鰻を現在のような形で、一般に食べるようになったのは江戸後期からで、特に蒲焼は江戸発祥の料理だそうです。鰻料理は、「江戸前」の語源にもなっているのだそうです。
 天然の鰻が美味しい季節は、春先から梅雨明けまでの期間と、秋口から木枯らしが吹き出す頃までの期間です。天然の鰻は、川の水が温くなってきて、川底から姿を現します。夏場は鰻も夏バテで、川底や沼の泥の中でじっと暑さに耐えています。そして、涼しくなるとまた姿を現し、川蝦(かわえび)などを食べて産卵に備えます。養殖の鰻には特に旬はありません。
 したがって、土用の丑(うし)の日の頃の鰻は美味ではないのです。夏バテで食欲が落ちて、ウナギの売上が落ちるのも仕方がないことだったのです。現在でも続く、平賀源内の「本日、土用丑の日」という宣伝広告は見事だと言えるでしょう。
 鰻屋では、鰻を割いてからたれをつけて焼きあげるまで、天然ものならゆうに1時間以上かかります。昔は、客は出来上がりまで酒とお新香でつないでいました。ですから、鰻屋はお新香に気を使っていたそうです。
 また、一昔前ならば、奈良漬けも必ず添えてありました。鰻のかば焼きの味をいったん切るのに最も適しているのだそうです。しかし、誰も手をつけなくなり、また比較的、高価であったため、近年では姿を消してしまったようです。
 現在、奈良漬けの替わりに、かば焼きの味を切るのが「きも吸い」です。口の中をリセットするのが役割ですから、味が濃くてはいけません。