へぎ蕎麦、へぎそば、片木そば

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更新日:
 2022年6月5日



◎へぎ蕎麦(2022年6月5日)
 「へぎそば」とは、つなぎに布海苔(ふのり)という海藻を使った蕎麦を「ヘギ」と呼ばれる器に盛り付けた切り蕎麦です。新潟県の織物文化と蕎麦の食文化が融合して生まれた新潟県、魚沼地方発祥の料理です。
 「へぎそば」の「へぎ」は、「剥ぎ板(へぎいた)」で作った四角い木箱の事です。正確には「剥板(へぎいた)」と呼ばれるヒノキを薄く剥いで作った折敷(おしき)の事です。「へぎ」は、「剥ぐ=はぐ=へぐ」のなまりで「剥ぎ」が語源です。冠婚葬祭の時、蕎麦で訪問客をもてなす風習があったこの地で、一度に沢山運べて、持ち運びにも便利で、なおかつ衣服を汚さない、という理由でこの「へぎ」と呼ばれる木箱に入れて蕎麦が提供されるようになったのが始まりだそうです。
 新潟の蕎麦切りは江戸時代から始まり、魚沼地方を中心に蕎麦の栽培が始まったといわれています。しかし、当時は小麦の栽培が行われていなかったため、つなぎにはヤマゴボウの葉や自然薯が使われていたそうです。ただ、この地方は越後縮(小千谷縮)という麻の織物の産地であり、織物の緯糸(よこいと)をピンと張るためにフノリ(布海苔)という海藻を使っていたことからフノリが容易に入手できました。そこで新潟県十日町市中屋敷(旧、中魚沼郡川西町木島町)の蕎麦屋、小嶋屋総本店の初代、小林重太郎が「フノリを使ってそばができないか」と研究を重ね、現在のフノリそばを完成させたそうです。
 布海苔をつなぎに使っていることから、小麦粉をつなぎにした蕎麦や、十割蕎麦などと比較してツルツルとした喉越しが楽しめるのが特徴です。魚沼地方では、蕎麦の薬味になるワサビが採れなかったため、薬味として刻みネギまたはアサツキとからしを添えていたそうです。また、クルミを添える地区もあったそうです。ワサビが広く流通するようになると、へぎ蕎麦にもワサビが使われるようになり、十日町市や小千谷市のそば店では薬味を「からしのみ」、「わさびのみ」、「両方から選択可能」とするお店もあるそうです。
 なお、十日町市のへぎそば組合は「十日町へぎそば(2014年7月11日登録、登録5684700)」を、小千谷市の業界団体は「小千谷名物へぎそば(1977年9月19日登録、登録1300101)」を、それぞれ商標登録しています。
 ちなみに、「へぎそば」は、別名「てぶりそば」とも呼ばれます。これは「へぎ」に蕎麦を盛り付ける時に、片手でくるりとまとめて余分な水を切ってから乗せることに由来します。このへぎ蕎麦の盛り方は「手振り」、「手びれ」と呼ばれ、織物をする時の糸を撚り紡いだ(よりつむいだ)「かせぐり」などからきた手ぐりの動作を表しているそうです。この一掴みとって振る盛り方がへぎそば独特の美しい盛り付け模様を生み出しています。