こむらさき

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更新日:
 2015年4月20日



◎こむらさき
 「こむらさき」は、熊本ラーメン株式会社(本社:熊本市、資本金:1,000万円、山中禅(しづか)社長)が運営している熊本ラーメンのお店です。熊本ラーメンは1952年(昭和27年)に熊本県玉名市に中華そば屋「三九」がオープンし、豚骨ラーメンを熊本県にもたらしたことがきっかけで発展しました。
 1953年(昭和28年)に「玉名にうまい食べ物がある」との話を聞いた青年3人組が、熊本市から「三九」のラーメンを食べに来たそうです。その3人とは山中安敏さん、劉孝治(重光孝治)さん、木村一さんです。この3人は不動産業、中古車販売業を営んでいたそうですが、この年(1953年)に北部九州を襲った白川大水害によって被害を受け、再起を期すために新しい商売を探していたそうです。3人は生まれて初めて食べた白く濁ったスープの豚骨ラーメンに感銘を受け、商売の可能性を感じたようです。3人は試行錯誤してスープを作り上げ、1953年(昭和28年)には木村一さんが「松葉軒」(現在は閉店)を、1954年(昭和29年)10月に山中安敏さんが「こむらさき」を創業しました。
 山中安敏さんは、最初、熊本市内の浄行寺町に店を開いたそうですが、カウンター10席の小さなお店は国道沿いのため通行客が少なく、3ヶ月ほどで閉店したそうです。
 その後、直ぐに市内の広町(上通りの近く)に山中さんと妻、千津子さんと久留米ラーメン店で修行した若い職人の3人で1954年(昭和29年)10月に新たなお店を開店したそうです。店名は、鹿児島ラーメンの人気店「こむらさき」にあやかり、「こむらさき」にしたそうです。当時、ラーメンは1杯、50円だったそうです。
 開店当時の味付けは、久留米ラーメンに近かったそうですが、独自の味を作るために様々な食材を試して試行錯誤していった結果、現在と同じ「にんにくチップ」にたどり着いたそうです。細かく刻んだニンニクをじっくり炒りあげて作るもので、独特の風味がラーメンの旨味を一層引き立てます。現在の熊本ラーメンには「焦がしニンニクチップ」が入っていますが、これを生み出したのは「こむらさき」だそうです。
 このニンニクチップができた頃の1957年(昭和32年)に広町から、現在の上林町(上通本店)に移転開業しました。その後、1959年(昭和34年)2月に有限会社こむらさきを設立しました。さらに1988年(昭和63年)11月に熊本ラーメン株式会社に組織変更、改称し、現在は山中安敏さんの息子である山中(しづか)禅さんが二代目として会社を率いています。
 禅さんが「こむらさき」で働くようになったのは26歳の時だそうです。当時は東京で会社勤めをしていたそうですが、売上不振を挽回するために実家に呼び戻されたそうです。当時、禅さんは地元の地域振興組合に参加し、全国の商店街を見て回って、地方ごとで異なる商売のやり方を目に焼き付け、自分の店に足りないものが何かを必死になって考えていたそうです。当時はラーメン、具沢山の王様ラーメン、おにぎりしかメニューになかったそうです。しかし、周りには洋食をはじめ、多様な飲食店が次々とオープンしており、開業時とは比べものにならないくらいライバル店があったそうです。そこで、最初に行った改革がサイドメニューの強化だったそうです。また、新たに加えた商品は、お客さんの反応を見ながら、少しずつ改良をしていったそうです。
 そのような地道な努力が実り、店は少しずつ活気を取り戻していき、1979年(昭和54年)に熊本一のメインストリート、上通りに支店(現在の上通中央店)を出店するなど、売上は順調に推移していったそうです。
 さらに1994年に開業した「新横浜ラーメン博物館」に出店したことで、その名がたちまち全国区となりました。開館以来、現在まで出店を継続している店は「こむらさき」だけだそうです。
 「こむらさき」のスープは、豚骨をベースに初代からの製法の味を守り続けているそうです。吟味した豚骨を8時間煮込み、途中でアクと余分な油を極力取るため、透き通るような真珠色で澱みがなく、臭みがありません。初代が「この味でなければお客様に出せない」と言っていた味にこだわり、現在でも、その昔ながらの風味と旨味を受け継ぎ、守り続けているそうです。
 麺は、やや細めの自家製、オリジナル麺です。歯ごたえや食感、スープとの相性など、色々な条件が必要になりますが、研究を重ねて出来上がった麺だそうです。チャーシューは厳選した豚肉を使って、旨味を閉じ込めて特性のタレに漬け込んでいるそうです。
 ちなみに山中さんが味を確立した頃、毎晩、食べに来ていた画家の平林武良さんが、絵では食べていけないのでラーメンを副業としたいと懇願されたそうです。山中さんは快く、ラーメンの作り方を指導したところ、平林武良さんは二本木町にラーメン屋「黒亭」を開業しました。この縁で「こむらさき 本店」には、平林武良さんの絵が飾られているそうです。
 その後、平林さんの絵の弟子である田上さからもラーメン店を出したいと頼まれ、やはり快く指導した結果、田上さんは下通りに「こだいこラーメン」を開店しました。ただし、こちらは繁盛していたものの閉店し、「こだいこ」の名義をは他人に譲渡したようです。
 このように山中さんが熊本ラーメンの礎を作って、広げたという事実があるようです。「こむらさき」は熊本のラーメンを語る上で欠かすことができないお店だと言えます。
 ただ、「こむらさき 本店」は2017年7月31日(月)で閉店しました。2016年から臨時休業の状態が続き、設備の不調や、人手不足でスタッフの確保が難しいことなどから閉店を決めたとそうです。現在は「上通中央店」と新横浜ラーメン博物館内の「新横浜店」の2店舗だけの営業となっています。
 今まで何度かフランチャイズの打診があったそうですが、これについては頑なに断り、直営店のみの経営を貫いています。それは「ご当地の味は、現地で楽しむのが一番。どこででも食べられることにメリットを感じない。熊本ラーメンという看板を背負っている以上、地元の味という感覚をいつまでも大切にしたい」という考えだそうです。

・こむらさき 新横浜店
 住所:神奈川県横浜市港北区新横浜2-147-21
 TEL:045-471-0503
 営業時間:11:00〜22:00
 定休日:年末年始
 駐車場:有
 アクセス:横浜市営地下鉄、8番出口より徒歩約1分
 カード:不可
 席数:30席
 オープン日:1994年3月6日

・こむらさき 上通中央店
 住所:熊本県熊本市中央区上通町8-16
 TEL:096-325-8972
 営業時間:11:00〜16:00、18:00〜22:00
 定休日:年末年始
 駐車場:無
 アクセス:市電、通町筋から徒歩約5分
 カード:不可
 席数:44席
 オープン日:1957年