お茶のお話

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更新日:
 2012年1月29日


◎お茶の話(1999年8月9日)
 お茶の発祥は、中国です。茶の樹の原産地は、中国南部の雲南省を中心とする広い地域と言われています。中国では、有史以前から不老長寿の霊薬として緑茶が飲まれていたようです。この緑茶の飲用が、原産地の中国南部から東南アジア北部の山岳地帯に住む少数民族にはじまり、漢民族によって中国全土に広まり、中国から、アジア、ヨーロッパを経て世界中に伝播していったと考えられています。
 このため、世界のどこでも、茶は似た名前で呼ばれています。これら各言語の呼び名は、茶を表す広東語のchaあるいは福建語のtayのどちらかの流れをくんでいます。

 紅茶、ウーロン茶、緑茶は見た目が異なり、違う茶のようですが、同じ「茶の木」の葉から作られた飲み物です。紅茶は、茶葉を完全に発酵させた後、乾燥させたもの(発酵茶)、ウーロン茶は途中で発酵を停止させたもの(半発酵茶)、緑茶は発酵させないもの(不発酵茶)です。発酵度合いの違いによって色、香り、味が違っています。茶を製造する方法の違いによって緑茶、紅茶、烏龍茶になるのです。
 茶の葉の中には酸化酵素というものが含まれています。この酸化酵素の働きは「酸化発酵」と呼ばれます。この酵素の働きを利用して製造するのが烏龍茶や紅茶で、利用しないで製造するのが緑茶です。
 紅茶を製造する過程で、茶葉の色が緑色から艶のある褐色へと変化するだけでなく、水色(すいしょく:抽出液の色)も緑黄色から美しい赤褐色へと変化し、香りは新鮮でグリーンな香りから花や果物を思わせる華やかで芳醇な香りへと、また、味わいはより深いものへと変化していきます。
 この酸化発酵を少しだけ利用して作られるのが烏龍茶です。紅茶の発祥の地は、現在も烏龍茶の製造が盛んに行われている中国の福建省です。17世紀半ばに中国からヨーロッパに紹介されたお茶は、当初、釜炒り緑茶と烏龍茶でした。(当時は、まだ、紅茶というものがなかったのです。)
 お茶の人気が次第に高まっていき、特にイギリスでは、より水色と味がしっかりした酸化発酵の強いタイプの烏龍茶(福建省産の武夷茶)が好まれるようになっていきました。中国からの主要な輸出品であったお茶が、輸入消費者であるイギリス人の嗜好に合わせる形で、輸出元で改良された結果、ウーロン茶よりも酸化発酵が進んだ、完全発酵の黒褐色の紅茶(Black Tea)が生まれました。

日本のお茶

台湾のお茶

 製茶の方法によるお茶の分類をまとめると下記のようになります。
1. 不発酵茶
 1.1 蒸製(日本式緑茶)
 1.2 釜炒り製(中国式緑茶)

2. 発酵茶
 2.1 菌類発酵茶
  2.1.1 乳酸類発酵茶
  2.1.2 微生物発酵茶

 2.2 酵素発酵茶
  2.2.1 弱発酵茶
  2.2.2 半発酵茶
  2.2.3 強発酵茶

3. その他

 以下に、それぞれについて簡単にまとめます。

1. 不発酵茶
 摘み取った茶葉を加熱処理して発酵を妨げた茶です。緑茶のように茶葉の収穫後に加熱処理を加え、茶葉自身に含まれる酵素による酸化発酵を極力抑えたお茶を不発酵茶と言います。この時の加熱処理を「殺青(さっせい)」と呼び、また、これを「蒸製」により行なった場合を、特に「蒸青」と呼んでいます。「蒸製」とは、発酵を止めるために蒸す方法です。
 日本では、蒸製により殺青を行なうものが主流ですが、世界的に見ると、この手法はかなり特殊な部類に入ります。古来は中国においても盛んに行なわれていた手法ですが、現在では、日本固有の手法だと言えます。
 中国では、釜炒製と呼ばれる、鉄製の釜で茶葉を炒って発酵を止める方式が主流です。この他にも煮製(番茶類)、焼製や晒青(日光に曝す)などの方法があります。日本国内でも嬉野茶や青柳茶の様に釜炒りの製法を取っているお茶があります。

1.1 蒸製(日本式緑茶
 茶摘み後、蒸気による熱処理をして茶葉の発酵を止めた後、加工するお茶です。茶摘み後、すぐ発酵を止めるため、茶葉が緑色を保つのが特徴です。玉露、煎茶、かぶせ茶、番茶、焙じ茶などが有名です。

1.2 釜炒り製(中国式緑茶)
 茶葉の発酵を止める方法が蒸製と異なります。鉄製の釜で茶葉を炒って仕上げた丸い形のお茶です。独特の「釜炒り香」が特徴です。龍井茶(中国)、嬉野茶(佐賀県)、青柳茶(熊本県、)などが有名です。

・龍井(ロンジン)
 中国淅江省杭州龍井付近で産する緑茶。茶葉は偏平の形をしていて、艶のある緑色のものが上質とされています。西湖(杭州市)湖畔の杭州付近で生産されている西湖龍井が有名です。

2. 発酵茶
 茶葉を発酵させてお茶を作る手法です。微生物を用いた発酵と、茶葉にもともと含まれている酸化酵素によって発酵させる手法とがあります。

2.1 菌類発酵茶
 菌類の発酵作用によって茶葉を発酵させてお茶を作る手法です。

2.1.1 乳酸類発酵茶
 緑茶と同様に茶葉を作り、その茶葉を高温多湿の室に入れ、微生物の作用で発酵させたお茶で、「後発酵茶(黒茶)」とも呼ばれています。独特の香りを持っており、ワインのように年代を重ねるほどに価値も高くなるものもあります。ミャンマーやタイの食べるお茶、碁石茶(高知県)、阿波番茶(徳島県)などが有名です。

・ミャンマーやタイの食べるお茶
 中国西南部からタイ北部、ミャンマーにかけての地域では、お茶を漬け込んで発酵させ、そのまま食べる習慣があります。摘んだ茶葉を蒸し、竹筒や大きな籠などにぎっしり詰めこんで空気から遮断して自然発酵させた、いわばお茶の漬物です。
 ミャンマーでは、このお茶を「ラペソー:Rapesoo」と呼び、広く愛好されていて、盛り付け専用の器まであります。その器は、真ん中にラペソーを入れ、そこから放射状に仕切りを作って、様々な具を入れるものです。例えばピーナッツ、ニンニク、干しエビ、ゴマなどを入れ、これらを適当にラペソーと混ぜて塩と味の素を加えてピーナッツオイルであえます。おかずにしても良いし、食後に、普通のお茶を飲みながら食べることもあります。町の中でもビニール袋に入れられて売られています。

・碁石茶
 高知県大豊町で生産されている後発酵茶です。7月中旬頃、新しい葉も古い葉も区別なく、枝ごと茶葉を刈り取り、特製の大釜に湯を沸かし、蒸し桶に茶葉を詰め、1時間から2時間ほど蒸します。蒸し上がった茶葉の小枝などを除いて、室内のムシロの上に50~70cmほどの高さに広げます。その上にムシロをかけて、7~10日間程度、カビ付けをします。カビ付けした茶葉は、大釜で蒸した時に出た茶汁を加えながら、杉材の桶に漬けます。これに重石を乗せ、20日間前後、嫌気発酵させます。この発酵は、主として乳酸発酵です。その後、桶の中で大きく切り分け、さらに取り出して台の上で3cm角程度に細断します。切った茶葉は、桶に戻しておき、晴天の日に庭にムシロを広げ、その上に細断した茶葉を並べ、約3日間かけて天日乾燥させます。完全に乾燥したお茶を俵に詰めて完成です。
 このムシロの上に3cm角程度の黒い塊が、点々と並べられて乾燥している光景が、碁盤に碁石を並べているように見えることから、碁石茶と呼ばれるようになったようです。

・阿波番茶
 徳島県の相生町や上勝町で作られている後発酵茶です。生葉を大釜で蒸した後、揉んで、すぐに桶に漬けこみます。10日間ほど桶で発酵させたものをムシロに広げ、手でほぐして天日乾燥します。乾燥した後、扇風機を使って葉と枝を選別し、完成です。お茶なのに乳酸菌飲料であり、酸味があるのが特徴。

2.1.2 微生物発酵茶
 微生物発酵茶とは、後発酵とも呼ばれます。茶葉に含まれる酸化酵素の働きを止め、微生物の力で発酵させて作るお茶です。プーアル茶、六堡茶、餅茶、団茶などが有名です。

・プーアル茶(普洱茶)
 緑茶を麹菌によって、半年から1年、2年と長く発酵させて作るお茶です。茶葉を長く寝かせるほど味がまろやかになるといわれ、古いものほど価格も高くなります。昔、中国の雲南省に普洱府(現在の普洱市)という所があり、周囲で採れたお茶が普洱府に集められ、加工された後、全国各地に販売されていたため、普洱茶と呼ばれるようになりました。

・六堡茶
 広西チワン族自治区西北の六堡郷で生産されていることから、六堡茶と名づけられました。黒麹菌で発酵させたお茶です。脱水した茶の葉を再び木樽に入れて、柔らかくなるまで蒸します。その後、竹の籠に入れて、倉庫で自然に乾燥させ、さらに1、2ヶ月、保存して完成です。

2.2 酵素発酵茶
 茶葉に含まれる酸化酵素の働きで茶葉を発酵させてお茶を作る手法です。発酵度合いによって、弱発酵茶、半発酵茶、強発酵茶に分けてみました。実際には、発酵度合いも様々ですので、一該には言えませんが、参考程度に考えてください。

2.2.1 弱発酵茶
 比較的、短時間の発酵で止めたお茶です。中国や台湾の清茶がこれに当たります。

・清茶
 青茶とは、茶葉を摘んでから、ある程度時間が経ってから、熱を加え、発酵を止めます。これは、茶葉に含まれるカテキン類を酸化によって変化させ、緑茶にない香りと味を引き出す作業です。もともと、山の上に生えていた茶葉を摘んで、竹籠に摘めて山を下ってくる間に、酸化発酵が起こって、その茶葉を製茶したら非常に香りの良いお茶が出来た、というのが青茶の発祥だと言われています。
 青茶の発酵度合いは、非常に範囲が広く、通常15~70%程度と言われています。台湾の文山包種茶が一番発酵が軽く、15%程度です。次いで凍頂烏龍茶や高山茶が15~30%程度、武夷岩茶、鳳凰単叢、安渓鉄観音などが30%程度。そして一番、発酵度が高いのが、台湾の香檳烏龍(東方美人)の70%程度です。
 台湾北部文山地区一帯で栽培される“清茶”は、紙に包まれて売られていたことから、“包種茶”とも呼ばれています。台湾の包種茶は、日晒しした茶芽を室内にて、あまり揉まずに靜置して、その後、釜炒りを行います。包種茶は、高い芳香を持つのが特徴です。

2.2.2 半発酵茶
 茶葉に含まれる酸化酵素の働きで茶葉を発酵させ、その発酵を途中で釜妙りによって途中で止めた後、揉捻、乾燥して作ります。烏龍茶が有名です。烏龍茶は、製造時にカテキンの酸化発酵が進む際、芳香成分の一部が分解するため、芳香は包種茶より劣りますが、水色は濃い橙赤色で、滋味が濃厚なのが特徴です。

2.2.3 強発酵茶
 茶葉に含まれる酸化酵素の働きで茶葉を完全に発酵させたお茶です。紅茶と呼ばれるお茶が、これに当たります。一言で紅茶と言いますが、ダージリン、アッサム、セイロン、キーマン(祁門)、雲南など、多くの銘柄が知られています。

3. その他
 上記に分類されないお茶は、非常に多くあります。これは、チャノキからだけ作るものではなく、チャノキから作る「お茶」に近い飲みものと言うべきものだと思います。いくつかをまとめますが、たくさんあるので、とても全てを網羅できません。

・明日葉茶
 明日葉茶とは、セリ科の明日葉という植物から作るお茶。今日、葉を摘んでも、明日には新芽が出るほど生育が早いため、明日葉と呼ばれています。
 茶葉は、5~7月頃、新芽か若葉を採取し、水洗いしてから細かくちぎり、蒸し器で数分蒸した後、陰干しして完全に乾燥させて作られます。

・ジャスミン茶(茉莉花茶)
 中国茶として知名度の高いジャスミン茶は、緑茶に乾燥させたジャスミンの花弁を入れて、香りを付けたお茶です。中国では、花茶として分類されています。花弁は取り出す場合と、そのまま残す場合があります。

・杜仲茶
 杜仲(学名、Eucommia Ulmoides)は、中国から東南アジア方面に広く生息する、杜仲科トチュウ属の落葉高木です。中国大陸中西部の原産で、高さが約20mになります。古くから漢方薬として珍重され、樹皮(木の皮の部分)を乾燥させたものが薬として使われてきました。この杜仲の若葉を茶葉にしたものが杜仲茶です。