しらす、シラス、白子

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更新日:
 2020年8月10日



◎しらす、シラス、白子(2020年8月10日)
 「シラス(白子、英:Whitebait)」とは、イカナゴ、ウナギ、カタクチイワシ、マイワシ、ウルメイワシ、アユ、ニシンなどの魚の稚魚の総称です。「しらす」という魚がいる訳ではありません。これらの魚の稚魚は、体の色素が少なく、白色~透明色をしているため、こう呼ばれています。主に2cm程度の大きさまでがシラスと呼ばれ、3cm程度になると、親魚の様に銀色がつきはじめるため、「しらす」ではなくなります。
 「しらす」という名称は、江戸時代の奉行所の庭に敷かれていた「白い敷石」から来ているそうです。よく時代劇で見る「白い砂利が敷かれた裁きの場所」は「お白洲(おしらす)」と呼ばれていましたが、「しらす」を干す時、地面が一面、真っ白になっている状態が、この「お白州」に似ていたことから「しらす」と呼ばれるようになったようです。
 「しらす」が好む場所は、大きな河のある沿岸海域です。このような海域は汽水域と言い、塩分が薄く、多くの動物性プランクトンが発生します。そのプランクトンを食べるために「しらす」が群れを成して集まってきます。漁場は主に太平洋沿岸で、豊後水道、瀬戸内海、伊勢湾、駿河湾、相模湾などでも多く獲られています。
 この「しらす」は、しらす網と呼ばれる網を打って捕獲します。この時、しらす以外にも様々な魚の仔稚魚が混入します。茹でシラスを食べる時、よく見ると魚類だけではなくタコやイカの幼生などが入っていたりします。
 現在、一般的に「しらす」として売られ、食べられているのは、主にカタクチイワシの稚魚です。しらすの産地、6ヶ所で、約9000匹を調べた結果、ほとんどが「カタクチイワシ」だったという調査結果があるそうです。ほかには「ウルメイワシ」や「マイワシ」、「エソ」の稚魚や、サバの稚魚も見つかったそうです。カタクチイワシ以外にもマイワシやウルメイワシの稚魚もしらすとして流通していますが、量としてはカタクチイワシの稚魚が最も多いそうです。
 マイワシの産卵期は冬から春にかけて、ウルメイワシは4~6月、カタクチイワシは一年中産卵をしますが、特に春と秋が産卵のピークとなります。しらすそのものはほぼ一年中、獲れますが、漁の最盛期は(場所によっても時期は多少変わりますが)、5~6月の春漁と10~11月の秋漁です。小ぶりながらぷりぷりした春のシラス、冬を前に水温の低下に適応して脂がのった秋のシラス、それぞれに特有の美味しさがあります。
 「生しらす」は、通常、水揚げされた当日にしか食べる事ができません。足が速く、鮮度が急激に落ちてしまうためです。このため「しらす」は塩茹でして加工されるものが殆どです。加工品は、水分含有量の違いで区別され、名称が異なります。
 獲れたての生のシラスを「釜ゆで」して、茹で上げ後、水きり程度で製品としたものが「釜揚げ」、あるいは「釜揚げシラス」と呼ばれ、水分を85%前後、含有した状態です。
 ゆで上がったシラスを天日で2時間程度干し、少し乾かした状態のものを「シラス干し」と呼びます。関西では「太白ちりめん」、「中干しシラス」とも呼ばれています。水分は50~60%程度、含んだ状態です。他にも、「太白」、「やわ干し」、「やわ乾」、「しらす」、「しらす干し」、「普通干し」とも呼ばれるようです。
 さらにシラスを半日程度、天日干しして良く乾かしたものは「チリメン」と呼ばれています。これは水分が25~35%程度まで乾燥させたものです。他にも「上干ちりめん」、「上干」、「上乾」、「ちりめんじゃこ」、「かちり」などとも呼ばれるようです。ちなみに「ちりめんじゃこ」という名称は、乾燥した魚の色が「京都丹後(たんご)」に代表される織物、「ちりめん」の模様に似ていたことから「ちりめん」、さらに小さい魚を意味する「雑魚(ざこ)」が訛って「じゃこ」、この2つを合わせて「ちりめんじゃこ」と呼ばれるようになったそうです。
 さらに海苔を作るような方法でしらすを板状に乾燥させたものは「畳いわし」と呼ばれ、水分は15%程度となります。
 以前は関西以西では「ちりめん」が主流、静岡周辺は「釜揚げ」が主流、関東以北は「しらす干」が主流と地域性がありましたが、現在は流通事情も良くなったため、昔ほど地域性はなくなってきたようです。

・生しらす



・釜揚げ



・ちりめんじゃこ