今川焼きのお話

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更新日:
 2024年1月30日


◎今川焼き(いまがわやき)、大判焼き(おおばんやき)(2024年1月20日)
 「今川焼き(いまがわやき)」とは、小麦粉、卵、砂糖を水で溶いて作った生地を直径約7cm、高さ2~3cmの円形の型に流し込み、その中に小豆の餡などを入れて焼き上げたお菓子です。餡は小豆あん(粒あん、こしあん)が主流ですが、現在では白あん、カスタードクリーム、チョコレートクリーム、いちごクリーム、クリームチーズ、キャラメルや抹茶クリームなど、様々なタイプが売られています。
 形状は、小判型や丸型が一般的ですが、「ぱんじゅう」のようにたこ焼きに似た半球の丸い形状と釣鐘状のものもあります。さらに言えば、外観(焼き型)を変えたものがタイ焼きであり、どこからどこまでが「おやき」なのか、区別は難しいと思われます。
 この食べ物は、安永6年(1777年)に悪茶利道人という人が書いた「富貴地座位(ふきぢざい)」という三都(江戸、京都、大坂)の名物を紹介した評判記―の江戸名物菓子之部に「今川やき 那須屋弥平 本所」と記載されているそうです。名前の由来は、現在の東京都千代田区鍛冶町にあった「今川橋」という橋の近くで売り出されたことから名づけられたそうです。「今川橋」は、当時の地元町人の代表であった名主、今川善右衛門の姓から名付けられましたが、1950年(昭和25年)に竜閑川(りゅうかんがわ)の埋め立てと同時に解体され、現在はありません。また、当時の「今川やき」がどのような菓子であったかは不明だそうです。
 現在の今川焼の姿が確認できるのは、明治期の郷土玩具研究者、清水晴風による幕末の絵画資料「街の姿」(1983年刊)の中に、6つのくぼみがある小さな鉄板を使用して今川焼きを焼く物売りの姿が描かれているのが最も古い資料のようです。このことから、幕末には現在のスタイルの今川焼きが作られていたことが分かります。明治時代には庶民のおやつとして大流行したそうで、森永製菓創業者の森永太一郎氏が「焼芋屋と今川焼がある限り銀座での西洋菓子の進出は困難」と言ったそうです。
 その後、愛媛を舞台にした獅子文六の大衆小説、「大番」が1956年(昭和31年)から1958年(昭和33年)まで「週刊朝日」に連載されると大ヒットし、加東大介主演で映画化され、さらにフジテレビで渥美清主演で連続ドラマ化されました。すると「大番」という名前をつけたお菓子も登場するなど、「大番」ブームが起きたそうです。
 そこから着想を得た愛媛の株式会社松山丸三という会社が、従来より一回り大きくした回転焼き機を「大判焼き機」と名づけ、1960年(昭和35年)に発売しました。従来よりも、あんこがたくさん入った大型サイズの「大判焼き」は景気が良いと喜ばれたそうです。松山丸三は「大判焼き機」だけでなく、独自に「大判焼の素」を開発し、大判焼きの器具一式と大判焼の素を合せたセットで販売しました。すると、素人でもすぐに店が開けるということで大ヒットし、四国、中国地方から全国にと広がっていったそうです。これによって「大判焼き」という名称が全国に広がったようです。
 「今川焼き」は主に関東地方で使われており、全国的には「大判焼き」という名称が使われているようですが、関西地区では「回転焼き」と呼ばれることが多いようです。これは、もともと円形の焼き板に丸型が並んでいて、円形の焼き板の中心に軸があり、手前で焼きやすいように焼き板を回転させたことから「回転焼き」と呼ばれるようになったそうです。また、「回転まんじゅう」と呼ばれることもあるようです。
 今回、調べてみたところ、日本全国で様々な名前で呼ばれているようです。単純に「おやき」と言う所もあれば、大判焼き、小判焼き、二重焼き、回転焼きという名称もあるそうです。分かった範囲をまとめると下記のようになりました。

 ・あじまん(山形市)
 ・甘太郎焼
 ・今川焼き
 ・大判焼き
 ・おばんやき(青森)
 ・おやき(北海道、青森市、弘前市など)
 ・回転焼き(奈良、大阪)
 ・回転饅頭(大阪市、堺市)
 ・画廊まんじゅう(静岡市清水区)
 ・義士焼き
 ・御座候(姫路市ほか)
 ・御座候(兵庫、埼玉)
 ・小判焼き
 ・七越焼き(富山市)
 ・志゙まんやき(じまんやき)
 ・人工衛星饅頭
 ・太閤焼き
 ・太鼓まん
 ・太鼓饅頭(高知市)
 ・太鼓焼き
 ・花見焼き(埼玉県蕨市)
 ・ぱんじゅう(小樽)
 ・びっくり饅頭(広島県呉市)
 ・蜂楽饅頭(熊本県)
 ・豊楽饅頭(福岡)
 ・夫婦まんじゅう

 この他にも、JRAの競馬場内で販売している「G1焼き」など、発売場所のイベントや祭りに関連した名称を付けている場合もあるようです。