蜂蜜のお話

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更新日:
 2008年6月28日


◎日本のハチミツ史
 2000万年前の日本列島にミツバチが生息していたことは、壱岐島の化石の発見によって明らかになっています。しかし、日本在来の蜜蜂(日本みつばち)に直接つながるものかどうかは分かっていないようです。
 
・最初の文献は「日本書紀」
 今後、新たな化石等の発見が大いに期待されるところですが、文献上にミツバチが登場するのは、古代の飛鳥時代です。「日本書紀」には、百済の王子、余豊が大和の三輪山で試みた養蜂が失敗に終わったと記されています。これは西暦643年のことで、これが日本における養蜂のはじめだというのが通説になっているようです。
 
・生産量はわずか
 ヨーロッパに比べて、日本の養蜂ははるかに遅いスタートでしたから、当時のはちみつは限られた人々だけが利用できる貴重品でした。
 平安時代に編纂された「延喜式」には、日本の各地から宮中へ献上された特産物が記録されていますが、ハチミツについては「蜜、甲斐国一升、相模国一升、信濃国二升、能登国一升五合」と記されています。一国の献上が、多くて二升(4.8kg)なので、当時の生産量が少なかったことが分かります。
 これらの蜂蜜は、中国などの影響もあって、もっぱら上流社会の人々に医薬品として利用されていたようです。
 江戸時代になると、ハチミツの生産法の研究が始まり、「家蜂畜養記」、「日本山海名産図会」、「広益国産考」など、養蜂の技術を解説した本も次々に出版されるようになりました。
 当時のハチミツは、今のように花の種類によって分けないで、蓄えられた場所別に、山の崖や岩穴の巣から採った「石蜜」、土木の洞から採った「木蜜」、人家に置かれた桶などの巣の「家蜜」、というように分類されていました。人家で飼う場合は、野生のみつばちの群を桶などに導入して集めていました。そして家蜜の生産が高まるにつれて、薬餌中心ながら、ようやく一般の人々の口にも入るようになりました。
 
・近代養蜂
 野生蜜の採集から養蜂への返遷は世界の人々にハチミツ利用の拡大をもたらしました。しかしながら、採蜜の仕方は原始時代とあまり変わらず、硫黄などで蜜蜂をいぶし殺して巣を押しつぶし、蜜を絞り採るという蜜蜂にとって至極残酷な方法が続けられてきました。
 蜜蜂を飼う入れ物は、日本の桶、ヨーロッパのわらで作ったスケップのほか、丸太をくりぬいたもの、粘土製のものなどいろいろでしたが、いずれも採蜜ごとに中から巣を切って取り出していたのです。
 この大昔からの方法が改められたのは、19世紀の中頃に、アメリカのラングストロスが「可動式巣枠」を発明してからです。
 彼の発明は、簡単に取り出せる木枠を作って巣箱にいれ、蜜蜂に、この木枠の中に巣作りをさせるという画期的なものですが、この発明により、ようやく近代養蜂の幕が開かれました。
 この発明がきっかけとなり、巣枠にたまった蜜を振り出す「遠心分離機」、あらかじめ六角の巣形を薄いロウ板にプレスして木枠に入れておき、巣作りの効率化をはかった「巣礎」など、次々に新しい発明が生まれました。
 そして、これらの発明は、養蜂に技術革新をもたらし、採蜜の量を飛躍的に増大させました。この新しい養蜂技術を日本に取り入れて、わが国の養蜂を最初に産業化したのは岐阜県の渡辺寛で、今から100年ほど前のことです。
 近代養蜜の普及は、日本のハチミツの歴史に多大の影響を及ぼし、生産量の一大飛躍をもたらす原動力となりました。今日、日本の養蜂技術は、先輩のヨーロッパ諸国をしのぎ、世界一流の技術水準を誇っています。



◎ハチミツの種類
 
1. 花による分類
 ハチミツには色々な種類があります。蜂蜜は、花によって分類されています。つまり、どの花からできたハチミツかによって分けられています。アカシアの花からはアカシア蜜、ミカンの花からはミカン蜜という形です。蜜蜂は、一度、一つの花に通いはじめると、その花が終わるまで他の花には眼もくれないので、混合することはないのです。蜜蜂のこのような性質を「訪花の一定性(flower constancy)」と言うそうです。
 蜜蜂は、花を見つけるとダンスで仲間に情報を伝えます。蜜源が少ない場合は簡単に終わりますが、たくさんある場合には激しく活発になります。このダンスで知らせを受けた蜜蜂達は、次々に花蜜を求めて、その花のところに蜜を取りに行き、巣に戻ると、また新しい仲間にダンスで伝えます。このように同じ巣箱の蜜蜂は、最も豊富な蜜源の花に集中しますので、だいたいが一つの花のハチミツが出来上がるわけです。
 
さて、日本で取れるはちみつを花別に分けて、特長を見てみましょう。
 
・レンゲ蜜
 レンゲ蜜は日本の代表的なハチミツです。ハチミツの生産は、現在、とても少なくなっていますが、もともと本場は岐阜県です。分布は広範囲で、南は鹿児島から北は福島まで各地で見ることができます。春になると可愛らしいピンク色の花が田んぼいっぱいに咲きますね。レンゲ蜜は、このような光景を思い出させるような優しい香りと上品な味を持っています。国産のレンゲ蜜は、クセがほとんどないので、いろんな飲み物やデザート、料理に合います。
 
・アカシア蜜
 レンゲ蜜をハチミツの王様だとすれば、アカシア蜜は蜂蜜の女王だといえます。アカシアの正式名は、ニセアカシア、和名、針槐(はりえんじゅ)です。チョウに似た小さな花が房状に集まり、藤の菜なのように垂れ下がって咲き、あたり一面にロマンチックな芳香が流れます。中国、関西、中部、関東などでは五月に、花の中心地の東北と北海道では六月に咲きます。
 上品な味はレンゲにも似て、美味しく、料理全般に向きます。また結晶しにくいのも特長です。
 
・クローバー蜜
 クローバー蜜には、ホワイトクローバーとレッドクローバーがありますが、主力となる蜜源はホワイトクローバーです。寒地の代表的な草本蜜源で、特に北海道の石狩平野が有名です。
 クローバー蜜は、色も淡色で、味の癖も少ない蜂蜜ですが、他の木の蜜などが混じると、著しく味が低下してしまいます。純粋なクローバー蜜は、料理全般に向きます。
 
・しな蜜
 しなの木の花は、小型で黄色っぽく強い香りを放ちます。おもに東北、北海道に分布しています。しなの木は日本特産のもので、しなの木と同種のぼだい樹は、ドイツ語でリンデン(Linden)、ロシア語でリーパ(Lipa)と呼ばれ、両国の人々はこの花の蜜を好んで利用します。
 ヨーロッパで人気のあるハチミツは、香りの強いものが多く、日本では反対に、クセやにおいの強いハチミツは一般の人の味覚に合わず、敬遠されています。
 このしな蜜は、クセが強すぎて味覚に合わないため、ほとんど市販されず、脱色脱臭したうえで、食品加工用などに回されています。そばの花のそば蜜も同様です。
 
・とち蜜
 とち蜜は、山地に自生するとちの木の花のハチミツです。とても美しい花で、中央部が赤く、まわりが白色の小さな花が房状に集まって、ろうそくのように上を向いて咲きます。パリのマロニエは、とちの木と同類です。日本で一番多く分布しているのは、中部以北の山岳地方です。
 とち蜜は、淡泊な味と、素晴らしい香りをもっています。お菓子、パン、デザート、飲み物、ソース類に向きます。
 
・ミカン蜜
 静岡、和歌山、広島をはじめ、四国、九州、東海など、ミカンの産地でとれるハチミツです。
 色は、やや黄色みを帯び、ミカンの果肉と果皮に似た独特の風味があります。紅茶にとても良く合いますし、デザート類や飲み物、サラダに最適です。
 ミカン蜜は、ただ、お湯の中に入れて飲むだけでもとても美味しくいただけます。
 
・なたね蜜
 菜の花畑の黄色い菜の花からの蜜、なたね蜜は、味が少々くどく、香りにもクセがあります。このため、さっぱりした味の料理には不向きで、バーベキューソースや、スパイスをきかせた濃厚な料理向きです。
 一般のハチミツは、冬にならなければ結晶しませんが、なたね蜜は夏でも結晶します。結晶状態はクリームのようになめらかですので、パンにつけるとなかなか美味しいです。
 
◎ハチミツの栄養
 
・ハチミツで長生きができる?
 ハチミツは世界中で、長寿と密接な関係があると言われていますが、その正体は、まだ完全には分かっていません。しかし、現在までに分かっている成分から、極めてバランスのとれた構成をもっていることが分かります。例えば、豊富なカリウムや、パントテン酸やコリンなどの長寿ビタミンを含んでいるので、十分長寿食の名に値すると考えられます。
 純粋なハチミツは約20%が水分で、残りの80%が糖分ですが、その糖分の半分がブドウ糖で、あとの半分が果糖です。その他、ビタミンやミネラルなどの微量成分も含まれています。この内、いわゆるハチミツらしさを作り出すのは、主としてブドウ糖や果糖などの糖分で、その他の美容成分は、レンゲ蜜、そば蜜と言った、個々のハチミツの特長を作り出しています。
 
・疲労回復がはやい!
 ハチミツの主成分のブドウ糖と果糖は、単糖類と呼ばれます。ショ糖、つまり砂糖などの多糖類を構成している糖類で、これ以上は糖としては分解されません。体内に入ると、短時間で腸壁から吸収され、血管の中に入り込みます。食品の吸収のされ方をみると、
 米、麦など → 糊精 → 麦芽糖 → ブドウ糖 → 吸収
 砂糖 → 果糖、ブドウ糖 → 吸収
 ハチミツ → そのまま吸収
になっています。つまり、同じ炭水化物でも、米や麦は一旦、体内で分解され、糊精(デキストリン)→麦芽糖→ブドウ糖という三段階を経なければ吸収されません。砂糖は、一旦、体内でブドウ糖と果糖に転化してから吸収されるので、それだけ胃腸の負担になるわけです。しかし、ハチミツの主成分であるブドウ糖と果糖は、初めから糖分が胃腸内で分解された形なのですから、そのまま吸収され、少しも胃腸の負担にはなりません。20分後には、血液の中に移行するのです。体力の衰えた病人や老人にハチミツが良いというのは、このためです。
 また、マラソンや遠泳の選手が、競技の前後にハチミツ飲料を摂るのも同じ理由からです。カナダのトロントのフィンレーという学者は、体育の選手達を対象に、ハチミツを用いた大規模な実験を続けました。その結果、選手たちはハチミツによって、激しい体力の消耗から急速に回復し、ハチミツを用いた選手は疲労が少ないことなどを確認し、ハチミツが理想的なエネルギー源であるということが分かりました。

・バランスのとれたビタミン配合
 ハチミツには、市販で売っているビタミン剤と同様、10種類のビタミンがハチミツに含まれていることが確認されています。ハチミツ中に含まれるビタミンは B1、B2、B6、葉酸、ニコチン酸(ナイアシン)、パントテン酸、ビオチン、C、K、コリンです。市販の総合ビタミン剤の成分表と比べると、よく似ていることに気づきます。もともと総合ビタミン剤というのは、一つのビタミンと他のビタミンの間に協力作用があるという事実の発見に基づいて作りだされたものです。そういう意味で、ハチミツには健康維持に必要なビタミンが多く含まれ、しかも各ビタミンの配合がバランス良いというのは驚くべきことです。
 また、ミネラルも多く含まれています。それらはカルシウムや鉄、銅、マンガン、リン、硫黄、カリウム、塩素、ナトリウム、硅素、マグネシウム、硅酸で、ハチミツは人体に必要なミネラルの多くをバランス良く含んでいます。
 しかし、脱臭脱色したハチミツは、大幅にビタミン含有量が減少することが確認されています。アメリカのミネソタ州で行った大規模なテストでは、ハチミツの脱臭脱色によって、ビタミンB複合体のうち5つが、その29.6〜47.1%を失ったと報告されています。このことからハチミツは、みだりに加工してはならないことが分かります。
 ビタミンの研究が進むにつれて、人為的に作ったビタミン剤は、大量に用いても少量の天然ビタミンほどには効かないということも分かってきました。同じビタミンでありながら、これは何故かという疑問から、さらに分析が行われた結果、ビタミンには「活性型」と「不活性型」があり、活性型は少量で効くけれども、不活性型は大量に用いないと効かない、ということも分かってきました。市販のビタミン剤は不活性型だったわけです。これに対して、ハチミツに含まれるビタミンは92%が活性型であり、しかも極めて安定していることも確認されました。