太平燕(たいぴーえん、たいぴんえん)

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更新日:
 2019年6月3日


◎太平燕(たいぴーえん)(熊本)(2019年5月31日)
 「太平燕(たいぴーえん)」とは「たいぴんえん」とも呼ばれ、熊本市の名物料理の1つです。春雨スープにエビ、イカ、豚肉、白菜、タケノコ、キクラゲなどの五目炒めを合わせ、揚げ玉子を添えた面料理です。熊本市周辺では中華料理店のメニューの定番となっており、熊本市の学校給食でも出されるほど一般的だそうです。
 熊本の太平燕の元祖は、熊本市桜町の「県民百貨店」、8階にあった中華園というお店(2015年2月28日、閉店)のようです。趙慶餘さんは16歳で来日し、旧植木町(熊本市北区)出身の渡辺朝子さんと結婚、2年後の1933年(昭和8年)に熊本市中央区花畑町付近で中華園を開業したそうです。
 趙慶餘さんは、故郷の福建省でお祝いの時などに出されていた家庭料理をアレンジして「太平燕」という料理を作ったそうです。中華園の太平燕は鶏を数時間煮込んだ透き通ったスープに春雨、白菜、エビ、煮卵などが入ったヘルシーな料理だそうです。
 中華園の太平燕を受け継いだ味は、熊本市中央区八王寺町にある「頂香(ディンシャン)」という中華料理店で味わうことができるそうです。「頂香」の店主、費(ひ)さんは、「中華園」で20年間、修行されたそうです。
 熊本の「太平燕」は中華園だけでなく、1933年(昭和8年)に開店した「会楽園(熊本市新町)」や1934年(昭和9年)に開店した「紅蘭亭(熊本市安政町)」などでもメニューに載っていたようです。趙慶餘さんを含めた華僑の方々は、海外での事業展開の際、お互いに協力しながら事業を展開していったようですので、お互いに情報交換した結果、色々なお店で出されるようになったのかもしれません。これが結果として、熊本市内に太平燕を広げることになったのかもしれません。
 「太平燕」とは、もともと福州語で「タイピンイェン」と読む、中国福建省福州の郷土料理です。アヒルのゆで卵を入れたスープワンタンのような料理だそうです。「アヒルの卵」は福州語で「鴨卵(アッロウン)」と呼ぶのだそうですが、「圧乱(戦乱を鎮める)」と同音であることから、さらに「太平(タイビン)」と連想され、「アヒルの卵」を「太平(タイビン)」と呼ぶことがあるようです。
 また、福州市には「扁肉燕(福州語:ビェンニュッイェン)」という、豚肉を叩き潰してサツマイモでん粉と一緒に練り込んだ独特の歯ごたえのワンタン用の皮があるそうです。これは「燕」と呼ばれるそうです。
 この2つの素材を組み合わせた料理が「太平燕」で、「燕」は「宴」と同音であることから、「太平宴」(平和な宴)として縁起が良い名前とし、結婚式などの宴席料理として食べられているようです。福州出身者が多い台湾でも宴会料理として出される場合があるようです。
 熊本名物の太平燕ですが、低カロリーな春雨を使用し、具に野菜をたっぷり使うことから、「ヘルシーな麺料理」として注目され、2005年には東洋水産、エースコック、西日本食品工業からカップ麺として発売されています。2005年には一部のコンビニエンスストアでも販売されました。さらに2006年にはヨネザワフーズから国内産春雨を使用したカップ太平燕が発売されています。具をレトルトパックにした商品もあり、味千ラーメンもこのような商品を販売しています。
 2008年9月には、関東地方でラーメン店をチェーン展開している日高屋がメニューに採用したことから関東地方の一部地域でも食べられるようになっているようです。