おっきりこみ、おきりこみ

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更新日:
 2021年5月24日



◎おっきりこみ(群馬県)(2021年5月20日)
 「おっきりこみ」とは、手打ちの太麺と季節の野菜や里芋、大根などをたっぷりの汁で煮込んだ麺料理で、群馬県の郷土料理です。「おきりこみ」、「煮ぼうとう」、「煮ぼうと」とも呼ばれ、群馬県内だけでなく、埼玉県北部、秩父地方でも食べられています。
 名前の由来は「こねた生地をヘラで直接、鍋の中に「切り込む」こと」、幅広の麺を「切っては入れ、切っては入れ」て食べることなどからだと言われているそうです。「切り込み」とは麺を「切っては入れ、切っては入れ」る事を意味していて、野菜などの具材を煮込んでいる最中に麺を手早く切り込んで鍋に入れていくことから、このような名前になったそうです。また、小麦粉を練って「切り込み」を入れてつくることから「おっきりこみ」という名前になったと言う説もあるそうです。
 「おっきりこみ」は、小麦粉を練って作った幅広の麺を、具材を煮込んだ汁に生のまま入れて煮込みます。うどんやそばとは異なり、麺を下茹でしないため、打ち粉が溶け出してスープはとろみが出ます。
 使用する具材はシイタケ、ニンジン、大根、ゴボウ、里芋、長ネギ、ジャガイモ、白菜、ホウレン草、ナス、サヤインゲンなどの季節の野菜と油揚げや鶏肉、豚肉です。味付けは味噌、醤油、どちらもありますが、昔は味噌ベースが基本だったそうです。
 山梨の郷土料理、「ほうとう」に似ていますが、かぼちゃやさつまいもという甘い根菜が入っていないのが特徴です。また、「ほうとう」の麺も一般的なうどんの麺と比べると幅が広い太麺ですが、「おっきりこみ」の麺の幅は3cmほどにもなる特大の麺です。さらに「ほうとう」は味噌で煮込みますが、「おっきりこみ」は味噌、醤油もしくは両方で煮込みます。
 「おっきりこみ」の歴史は12世紀まで遡るそうです。平安末期の12世紀に新田義重が中国から伝わって宮中で食べられていた料理を上野の国、現在の群馬県に伝え広めたという話があるそうです。新田義重は源義家の孫で源義重とも呼び、上野の国を本拠地とした豪族新田氏の開祖です。新田義重は当時、宮中で「大炊介(おおいのすけ)」と呼ばれる食材の手配や食事の準備をする役目をしており、その時に中国から伝わった「ぶと」と呼ばれる料理に触れ、それが後に日本では「ほうとう」として広まったといわれているそうです。その製法を上野の国、上州に持ち帰って「上州ほうとう」ともいわれる「おっきりこみ」として広まったとされているそうです。
 また、昔、農作業を終えた女性たちが、時間がないからと手っ取り早く野菜と麺を「切り込んで」作ったことが発祥とされているそうです。このため、あまりに忙しい時は麺というより、こねた小麦をちぎって入れる「すいとん」のような状態で食べたともいわれているそうです。
 群馬県では、2014年(平成26年)3月20日に県の「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財(県記録選択無形民俗文化財)」に選択されています。さらに、2008年3月発行の農林水産省の「農山漁村の郷土料理百選」にも選ばれています。
 現在では一般家庭でも作られており、おふくろの味として愛されているそうです。たっぷり入った具材の旨味や出汁が幅広の麺にじっくり染みこんでいて素朴な美味しい料理です。