このわた、海鼠腸

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更新日:
 2021年5月24日



◎このわた(海鼠腸)(2021年5月10日)
 ナマコ(海鼠)は古くは「こ」呼ばれていたので、「なまこの子」は「このこ」、「なまこのわた(腸)」は「このわた」と呼ばれています。
 「このわた(海鼠腸)」は、「なまこ(海鼠)」の腸ですが、一般的には塩漬けした商品として販売されています。1匹のナマコから採れる腸は1本しかありません。このため5kgのナマコから、たった100gしか採れない貴重品です。低カロリー食品で100gあたり64kcalですが、鉄分は4.0g、ビタミンKは23μg、含まれています。
 「このわた」を作るには、まず、ナマコの体内を浄化するため海に設けた生け簀で2日ほど放置します。腸管内部の餌の残渣や糞がある程度排泄された頃、腹側の口に近い部分を小刀で5~6cmほど裂き、逆さにして内部の体腔液を抜きつつ、切り口から指を入れて内臓を引き出すか、または脱腸器で内臓を抜き取るそうです。抜き出した腸の中には砂を含んでいるので、指先でしごいて内部に残った砂を絞り出します。海水中でしごくようにして腸管内の泥、異物、腸液を取り除きます。
 洗浄した腸を桶に入れ、塩を混ぜてしばらく寝かせます。添加する塩の濃度は、その日の温度や品質保持期間によっても異なりますが、通常5~8%、低いところでは3%程度の塩濃度の加工業者もあるようです。塩を加えてから寝かせておく時間は腸管の太さや業者によって様々で、3~30分と幅があるそうです。
 その後、ザルなどにあげて水分を取ります。ここでしっかり水切りをしておかないと、出来上がりの製品が水っぽくなってしまいます。最後に塩漬けして水切りしたものをビン詰めし、冷蔵庫内で1~3日間熟成させた後、冷凍保存します。
 「このわた」は、そのまま酒の肴として食べます。また、炊き立ての熱いご飯とも合うそうです。料理屋さんでは器に少量入れ、ウズラの卵を割って入れたり、とろろいも、いか、くらげなどと合えることもあります。熱燗に少量のこのわたを入れた「このわた酒」も美味しいそうです。
 古くは平安時代中期に編纂された「延喜式(927年(延長5年)に完成)」に能登から朝廷に献納されたと記されているそうです。また、1481年(文明13年)の文献に「このわたが公家に献上された」という記録も残っているそうです。これらから、非常に古くから「このわた」が食べられていたことが分かります。
 古くから能登半島、伊勢湾、三河湾が産地として知られていましたが、今日では、瀬戸内海など各地で製造されています。