いりこ、煎海鼠、熬海鼠、乾海鼠

  メニュー

TOPページ 

観光地 

地域情報 

日本のホテル 

日本のニュース 

日本について 

美味しいもの 

海外事情 

海外のホテル 

食品の話 

雑学 

用語辞典 

リンク 


更新日:
 2021年5月24日



◎いりこ、煎海鼠、熬海鼠、乾海鼠(2021年5月10日)
 「いりこ」は「ナマコのはらわたを取り去って煮て干したもの」です。いわゆる「干した海鼠(なまこ)」で、漢字では煎海鼠、熬海鼠、乾海鼠などと書きます。「いりなまこ」、「きんこ」、「干しなまこ」、「ほしこ」とも呼ばれるようです。
 ナマコの内臓を抜き、海水か海水に近い薄い食塩水で煮たあと、水気を切って天日乾燥させたものです。主に中華料理に使われ、中華料理の高級食材とされています。中国では料理に使われるだけでなく、高級漢方食材としても珍重されています。薬用人参同様の滋養強壮効果があるとして、「海参(ハイシェン)(海の高麗人参)」と呼ばれています。また、トゲのあるナマコは「刺参(ツーシェン)」と呼ばれ、トゲのない「光参(グァンシェン)」よりも高値で取引されているそうです。また、日本産の黒ナマコを乾燥させたものが一番、珍重されており、「黒いダイヤ」と呼ばれることもあるそうです。
 一般的に12月から翌年3月にかけて作られます。採取されたナマコは一晩、生け簀に入れて砂を吐かせた後、尾部を包丁で数センチメートル割き、このわたの原料となる腸を取り除きます。そして海水で洗い、水切りした後、海水か、海水に近い薄い食塩水で1時間程度、煮ます。この間、膨れるものは釘を打って穴をあけ、裂けるのを防ぐそうです。その後、水切りし、簀の上に置いて天日乾燥します。1週間程度で固く干し上がり、完成します。
 刺のある刺参(しさん)と、刺のない無刺参があります。北海道や本州、九州ではナマコ、クロホシナマコ、クロナマコなどを用いて刺参をつくり、南九州や沖縄ではフジコ(キンコともいう)を用いて無刺参が作られているそうです。
 食べる時は戻しますが、戻し方には以下の手順があります。
1)よく洗った干しナマコを中敷を敷いた鍋に入れ、たっぷりの水を加えて加熱する。
2)沸いたら火を止めて、そのまま一晩おいておく。
3)2倍くらいに膨張したナマコの表皮を削り落とす。
4)熱湯に入れて5時間ほど放置、これを3回ほど繰り返す。
5)腹を切り開き、内部を水洗いする。
6)再び熱湯につけ、湯が冷めたら取り替える。これを2~3日繰り返す。
7)3倍ほどに膨張すれば完全に戻っているので、使用できる。きれいな水に入れて冷蔵庫で保存する。

 このような手間をかけるのは、いっぺんに加熱すると身が溶けてしまうためだそうです。また、油を嫌い、油分があると身だけ溶けてしまうそうです。
 日本でも平安初期から調物(ちょうもつ:税として納めるもの)とされていました。和食では、主に煮物の材料にされます。