天丼 てんや

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更新日:
 2021年10月12日



◎天丼てんや(2020年5月1日)
 「天丼てんや」は、天丼のチェーン店です。現在はロイヤルホストなどのファミリーレストランを運営しているロイヤルホールディングス(設立:1950年(昭和25年)4月、本社:福岡県福岡市博多区、資本金:13,676,179,700円、代表取締役会長:菊地唯夫、代表取締役社長:黒須康宏)の子会社であるロイヤルフードサービス株式会社(設立:2007年8月1日、本社:東京都世田谷区、資本金:1億円、代表取締役社長:村上庸彦)が運営しています。
 もともとは岩下善夫氏が1989年(平成元年)4月20日に株式会社テンコーポレーション(本社:東京都台東区)を設立したことが始まりです。資本金は1億円で、丸紅が70%、日清製油25%、岩下善夫氏が5%の出資で会社を設立し、1989年9月に1号店を東京駅、八重洲地下街に出店(八重洲店)しました。
 創業以来、丸紅の主要グループ企業でしたが、2005年(平成17年)7月、ファミリーレストランの「ロイヤルホスト」で知られる外食大手のロイヤルホールディングスが丸紅から株式を取得して筆頭株主となり、2006年(平成18年)6月からは株式取得及び取締役の異動によってロイヤルホールディングスの連結子会社になりました。さらに2010年(平成22年)4月27日に上場廃止となり、5月1日からはロイヤルホールディングスの完全子会社になっています。
 「天丼てんや」の創立者である岩下善夫氏は、日本マクドナルドの創業にも携わっていました。岩下善夫氏は、藤田田氏が1971年に日本マクドナルドを創業したときの最初の社員の一人で、1975年には日本マクドナルドを退職してサンドイッチハウスを創業しましたが、1979年には閉業する事態になりました。その後、水炊き玄海や天ぷら新宿つな八で修行して、1989年にテンコーポレーションを創業しました。
 岩下氏はマクドナルドのオペレーションの仕組みを知り、マクドナルドの近代的なフードシステムの力と経営の仕組みに感銘したそうです。その一方、提供するハンバーガーやフライポテトというアメリカ的な食べ物には違和感があったそうです。そのためマクドナルド的な経営システムを使って、美味しくて健康な和食を提供したいという思いが募っていき、「天丼てんや」の創業に至ったそうです。しかし、「天丼てんや」を創業するには、様々な苦労があったそうです。
 「天丼てんや」以前には「天丼、天ぷら」のファストフード店はなかったと思います。油を大量に使う天ぷらは油の処理にコストがかかること、和食の天ぷら専門店があるように調理が難しいことが天ぷら、天丼のファストフード店を阻む壁でした。
 従来の天丼や天ぷらの専門店では、職人が素材を油の中に入れ、状態を見ながら、一品ずつ丁寧に提供していました。作り置きをすれば安く提供できますが、味は格段に落ちます。また、天ぷらは油の温度管理がものすごく難しく、空の状態では温度が一気に上がりやすく、ネタをたくさん投入すると途端に冷めてしまいます。170〜180℃の高温でカラッと揚げるのが美味しいのですが、160℃以下になるとオイリーで衣が白くなるし、逆に温度が高過ぎると焦げてしまいます。
 そこで油の温度管理を見える化するために、岩下氏はオートフライヤーのメーカーである愛技産業に職人を連れて行き、長年掛けて覚える天ぷら作りのコツをソフトに組み込むことに成功したそうです。そしてコンピューターで油の微妙な温度調整を制御できるコンベアフライヤーが開発され、このフライヤーによって天ぷら職人が不要となり、素人でもあるアルバイトが誰でも美味しい天ぷらを揚げることができるようになり、その結果、天丼を480円という低価格で販売することが可能になったそうです。ちなみに現在は、中西製作所がオートフライヤーを生産しているそうです。
 「天丼てんや」が独自に開発したステンレスのベルトコンベヤー式オートフライヤーは、店員が素材に衣を付けて、コンベヤーに置くだけです。あとは、温度制御機能を持ったフライヤーが自動的に天ぷらを揚げてくれます。すなわち180℃に設定した油の中を1分30秒、ベルトごと移動しながら揚げてくれます。この揚げ時間は、約10cmの海老が一番美味しく揚がるように設定されており、それに合わせて野菜、イカなどの素材の大きさ、厚みが決められているそうです。これが、揚げ立ての天丼なのに作り置きの天ぷらを使った他店の天丼よりも安く提供できる理由だそうです。
 現在、オートフライヤーは5代目までバージョンアップされており、より美味しく、より早く提供できるようになっているそうです。例えば、海老の中心部の温度は以前なら85℃で揚げていたそうですが、今は90℃に改善され、よりアツアツで提供されているそうです。以前は、注文を受けてからの提供時間は7〜8分だったそうですが、今は5分になっているそうです。
 カボチャは適切な厚みに均等にスライスするための専用機器があるそうです。また、大きな天ぷらを揚げる時は、工夫をしているそうです。大型の海老は、一度、油に沈め、浮いてきてからコンベアに流すそうです。かき揚げは、型にかき揚げのタネを入れて、90秒間、かき揚げの形を整えてからコンベアに流すそうです。
 ベルトコンベヤー式オートフライヤーは、1時間に1300ピースを揚げることが可能だそうです。1つの丼に5〜6ピースを乗せていることから、1時間で200食を提供することができます。これは職人3〜4人分の仕事量に当たるそうです。
 「天丼てんや」は、当然ですが食材にもこだわっています。創業当時から、天ぷら粉は日清製粉、日清フーズと共同開発を重ねてきたそうです。10〜15℃の環境で保管し、揚げる時に素材を天ぷら粉に付けるボウルには魔法瓶のような真空構造を採用し、温度が急激に上がらない工夫をしているそうです。
 油も創業当初から日清oillioに特注し、軽い風味とサクサク感、食材の美味しさを引き立てる健康的な植物油を使用しているそうです。植物油100%でコレステロール・ゼロをアピールしてきた結果、ヘルシーなイメージが浸透して、女性にもてんやの人気が高まり、売り上げが増えているそうです。
 米は、炊いたご飯を丼に盛る時、ベチャッと押し付けてしまうと風味が損なわれ、タレも行き渡らなくなってしまいます。経験の足りないアルバイトだと、ご飯の盛り方が雑になりがちです。そこで、すしロボットで著名な鈴茂器工の自動飯盛り機を導入し、誰でもご飯の最適な保管ができ、ふっくらと正確な分量を盛れるように改善したそうです。これにより、アルバイトは天ぷらをトッピングして満遍なくタレをかけるという作業に専念でき、誰でも一定の品質の天丼を提供できるようになったそうです。ちなみに、「天丼てんや」の天丼のタレは、醤油がベースですが、隠し味として鰻のエキスがブレンドされているそうです。
 素材のメインを張る海老は、大型のブラックタイガーを使っています。川の淡水と海水が混じり合う、マングローブの茂った汽水域に水門を作って、ストレスの少ない自然に近い環境で海老の養殖を行っていて、天然のプランクトンを餌にのびのびと育てられているため、身の締りが違うそうです。
 その「天丼てんや」の1号店は東京駅の八重洲口から数分の八重洲地下街にあります。バブル景気のまっただ中、1989年9月に東京駅の八重洲地下街にオープンしました。「100店構想の全国チェーン」を見据え、その1号店にふさわしい場所を探した結果、東京一といわれる広い面積の地下街、東京の玄関口でもある八重洲地下街になったそうです。また当時、天丼は1000〜1500円くらいが相場だったので、500円で天丼が食べられるということで、開業初日から長い行列ができたそうです。さらにテイクアウト用にお弁当50個の用意をしていたものの、すぐに売り切れてしまったそうです。当時は持ち帰れるお店が少なく、コンビニも少なかったため、貴重だったようです。
 1号店は大繁盛し、連日200mもの行列ができたそうです。あまりの人気で、5ヶ月後には2号店がオープンしたそうです。その後、2001年8月に100店舗、2016年12月に200店舗達成しました。2020年4月1日には店舗数227店(直営:148店、国内FC:51店、海外FC:28店)にまで成長しました。



・オールスター天丼





・天丼てんや 八重洲店
 住所:東京都中央区八重洲2-1 八重洲地下街 南1号
 TEL:03-3275-2706
 営業時間:10:00〜23:00
 定休日:無
 駐車場:無
 アクセス:JR、東京駅、八重洲南口改札から徒歩約3分
 カード:不可
 席数:42席
 オープン日:1989年9月