| 煉瓦亭 |
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◎煉瓦亭（2010年10月30日） 煉瓦亭（れんがてい）は東京都中央区銀座にある1895年（明治28年）創業の老舗洋食屋です。創業者は木田元次郎氏（きだ・もとじろう、1867〜1963）です。オムライス、トンカツ、カキフライ、エビフライ、ハヤシライスなどの洋食の発祥のお店と言われています。（異論もあるようです。） また、「皿にライスを盛る」、「ライスをフォークの背にのせて食べる」という食べ方を考案したのも、木田元次郎氏と言われているそうです。（異論もあるようです。） 創業当初は、小説家として歴史に名を残した池波正太郎（いけなみ・しょうたろう）や北杜夫（きた・もりお）も煉瓦亭に通っていたそうです。 明治時代、洋食メニューとの組み合わせは西洋料理に習った「パン」だったそうですが、お客さんから「パンより米を食べたい」と要望があり、「皿にライス」というスタイルで提供したとされています。ナイフ、フォークで食事をするため、茶碗では食べにくいため、皿に盛ったようです。さらに皿に盛った御飯を食べるために「フォークの背にライスを乗せる方法」を提案したようです。 当時、カツレツの付け合わせは温野菜だったそうですが、これをキャベツの千切りに置き換え、さらにドミグラスソースからウスターソースに変更したそうです。これが現在のトンカツの元祖と言われています。キャベツの千切りは、日露戦争でコックが徴兵されてしまったため、調理の手間を省くために「キャベツの一夜漬け」からヒントを得て、食べやすい「千切り」を思いついたそうです。安くてソースに合うという事も大きな理由だったようです。 3代目である木田明利（きだ・あきとし）氏は、「ハヤシライスは日本橋、丸善が元祖ではあるが、あれはチャプスイに近い。」とし、「ドミグラスソースでハヤシライスを作ったのは煉瓦亭が最初。」と主張しているそうです。 煉瓦亭のオムライスは、当初は調理場の賄い料理だったそうです。卵に白飯や具を混ぜて焼いたものを食べていたそうですが、1900年（明治33年）頃、コックさんたちが忙しくて、座ってご飯を食べていられない時に、スプーンで片手で食べながら、鍋を動かしたりしていたそうです。その光景を常連さんが見て、何を食べているんだと聞かれたため、それを提供したそうです。すると常連さん達の間で人気となり、そのうち注文するお客さんが多くなったため「ライスオムレツ」としてメニューに載せるようになったそうです。 ただし、煉瓦亭のオムライスは一般的なオムライスとは異なります。上述したように「卵に白飯や具を混ぜて焼いた料理」です。見た目は普通のオムライスのようですが、よく見ると表面のオムレツの中に白いご飯のつぶつぶが混ざっています。表面はしっかり焼かれていて、ほどよい楕円形を保っていますが、真ん中あたりにスプーンを入れると、中は半熟加減でしっとり柔らかく、まるで、タマゴかけご飯を食べているような感じです。マッシュルーム、挽き肉、グリーンピース、白いご飯を具に混ぜたオムレツです。 ちなみに明利氏によると「プレーンオムレツで具を包む」というオムライスができたのは、日露戦争（1904〜1905）の直後、1905年（明治38年）以降だそうです。当時、南ヨーロッパの船に乗っていたコックさんたちが、スペインやイタリアなどのリゾットやピラフなど、日本にはない御飯料理を覚えて帰ってきて、色々な情報を教えてくれたそうです。日本には炊いたご飯があるから、米から炒めなくてもいいということで、ご飯をチャーハン式に炒めて、鶏肉をいれたものを「チキンライス」、エビをいれたものを「エビライス」という名前で出していたそうです。このような新しい洋食のバリエーションの1つとして、ご飯を薄焼きタマゴで包み始めたのが、新しいオムライスなのだそうです。ただし、それは煉瓦亭だけではなく、当時、銀座には4軒ほど西洋料理屋から洋食屋に移行した店があって、みな仲間だったらしく、一緒に話し合いながら研究して、新しい料理を作っていたそうです。 現在の煉瓦亭の店舗は、1964年（昭和39年）に建てられたものです。また、メニューには単品料理ばかりでコース料理がありません。明利氏によると「以前はあったのですが、コースをやると、手が回らなくなるので今は、やっていないんです。」ということだそうです。コースをやるには人手が足りないということのようです。 ちなみに明利氏によると、メニューは明治時代からほとんど変わっていないそうです。「大正時代にカレーライスやパスタ類が加わったくらいで、それ以外は明治時代に完成しているものです。」とのことです。メニューや味は当時と変わらず、レシピも今日までそのまま引き継がれているそうです。   3階は和室です。   ・元祖ハヤシライス    ・ライスオムレツ（元祖オムライス）  よく見ると、こんな感じです。  ・元祖ポークカツレツ   ・煉瓦亭（れんがてい） 住所：東京都中央区銀座3-5-16 TEL：03-3561-7258 営業時間：11:15〜15:00、16:40〜21:00 定休日：日曜日 駐車場：無 アクセス：東京メトロ、銀座線、銀座駅A10またはB1出口より徒歩3分 カード：不可 席数：110席 オープン日：1895年（明治28年） |