王ろじ

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更新日:
 2022年3月16



◎王ろじ(2022年3月16日)
 新宿駅から徒歩5分ほど、地下鉄、新宿三丁目駅から徒歩2分ほどの場所にある創業1921年(大正10年)という老舗のとんかつ屋さんが「王ろじ」です。伊勢丹新宿店のすぐ近くにある一軒家レストランです。暖簾には「とんかつ」と書かれ、入口には創業大正十年と書かれた看板がかけられています。
 「王ろじ」の創業者、来住野松蔵氏は丸の内にあった宮内庁御用達の洋食レストラン「中央亭」でフランス料理を修業した後、神楽坂に店を出したのが最初だそうです。当時は様々な洋食も含めて、花柳界で仕出しを中心に商売をしていたそうです。その後、十二社(じゅうにそう、新宿区西新宿の旧地名)を経て、戦後、現在の場所に移転したそうです。新宿三丁目で開店した当時、店が路地の突き当りにあった事から「路地奥の王様」の意味を込めて「王ろじ」と名付けたそうです。
 「王ろじ」の豚カツは、他店のトンカツとは違います。創業者、来住野松蔵氏は人と同じなのが大嫌いだったらしく、独自の豚カツを作りました。「王ろじ」のとんかつは熟成したロース肉のみで、いい脂身をしょった肉から筋を切り落とし、脂身をほどよく削り取り、これを小さなハンマーで根気よく叩きます。1本のロースを30〜40分叩いてようやく、甘い脂の味わいを残しつつ、ヒレ好きにも好まれるロース肉ができるそうです。このロース肉を丸めてロール状にしています。
 これは、来住野松蔵氏が「ロースの脂身を苦手と言う人にも食べてもらいたい」と考えて作った豚カツだそうです。豚肉の美味しさ、甘みや旨みを味わうためには豚の脂の部分は必要なのだそうです。ただ、脂っこくなく美味しく食べてもらうために肉の仕込みには手間がかかり、5〜6時間もかかるそうです。また、とんかつは丸く、分厚いため、揚がるのに13分ほどかかります。
 「王ろじ」で有名なメニューにカツカレーがあります。カツカレーといいながら、メニューには「とん丼」と書かれています。「とん丼」は、丼に盛られたカツカレーで、洋食の歴史が浅かった大正時代に、他の人が思いつかないようなものを作りたいと考えた来住野松蔵氏が生み出したこだわりの逸品です。「とん丼」はフレンチで培ったカツレツの技術をアレンジして出来た料理だそうです。丼とお皿がくっついたユニークな器も創業時から変わっておらず、こちらも来住野松蔵氏が他にはないもので料理を提供したいと特注したオリジナルだそうです。
 創業当時から変わらないカレーのルーも、フレンチがベースになっているそうです。小麦粉にビーフスープとスパイス代わりの焼きリンゴや焼酎に漬け込んだニンニクなどを加えて、香り付けをしているそうです。これはスパイスがなかなか手に入らなかった時代に、香り付けをするための工夫の賜物だそうです。
 とん丼の大盛りを注文しましたが、あまり大きく見えない器に入って提供されました。筒状のカツを斜めにカットしたものが3切れ、乗っていて、周りにカレーがかけられ、一部にはソースもかけられていました。カツは、衣はサクサクしていますが、お肉はジューシーでとても柔らかかったです。お年寄りでも食べやすいと思いました。誰もが美味しいと感じられる豚カツで、これが大正時代から令和の時代まで生き続けるための重要なポイントなのだと思いました。カレーは、近年のインド風のようなスパイシーなカレーではありませんが、むしろ、そんなカレーが大正時代のカレーなのだと思います。
 二十歳で初代から店舗を引き継いだ現二代目店主、来住野正明氏は「大手のチェーン店も多く出店している地域、その厳しい競争の中で個人店が勝ち残っていく為には、やり方を変えないという頑固さも必要なんです。ただ、さらに味を良くするため、考え続けることは必要です。ここに行かなければ味わえないという味を出して勝負していくことが大切です。」とおっしゃっているそうです。
 大正時代に生まれた料理を頑なに守っているお店、しかも、それが美味しく、他店では味わえないのですから、絶対に一度は食べないといけないと思います。私は、カレーよりも、お肉がホロホロ崩れることに驚きました。私自身も、ロースカツの脂身ギューという部分は残すタイプなので、そういうことを考えずにしっかり味わうことができる豚カツは感動でした。ここに労力を注いでいるということですので、脂を気にしている方は、是非、食べるべきです。















・とん丼(大盛)







・王ろじ
 住所:東京都新宿区新宿3-17-21
 TEL:03-3352-1037
 営業時間:11:15〜14:30、17:30〜20:20
 定休日:水曜日(祝日の場合は翌日)、12月31日、1月1日
 駐車場:無
 アクセス:JR、新宿駅から徒歩約5分
 カード:不可
 席数:34席
 オープン日:1921年(大正10年)